2001年1月5日  左目に神の目を持つ男


寺沢武一氏の近未来SFコミック「ゴクウ」という作品をご存知だろうか?事故で無くした左目に高性能コンピュータ端末の義眼を組み込み世界中のあらゆるコンピュータにハッキングが可能となった私立探偵での物語でありとあらゆる情報が左目に映し出される。もちろん映し出すだけでなくコントロールも自由自在だ。全てがコンピュータで管理されている近未来において、ありとあらゆるコンピュータを瞬時に自由に扱える様は、まさに神の技に等しい。

この作品の世界観の重要なファクターとなっているのはコンピュータ社会である。すべてがコンピュータで管理されており、それらはワイヤーではなく無線で繋がっているのだ。10年以上前の作品だが、その世界観に、SFの匂いを強く感じたものである。そして現在、そんなSFの世界に着実に近づきつつある。

BlueToothという通信規格を聞いた事があるだろうか?

近距離無線通信規格で2.4GHz帯を利用して、最大伝送距離10m、最大データ伝送速度1Mビット/秒を実現する技術であり、コンピュータと他の電子機器(携帯電話、デジカメ、プリンター、スキャンナー等)との間を繋ぐ無線LANとして有力視されている。 低コストで1チップ化が可能なデバイスで、将来的には車や家電製品等にも広く応用される予定で大手家電メーカーも採用を検討しているという。

とはいえ、この規格1999年に制定されたばかりでまだ実用段階といえるものではない。対応製品は幾つか発売されているが、こういったものは広く浸透していかないとその恩恵を受けられない。BlueToothが広く浸透しどこにでも存在するようになるとそれはただの無線LANに留まらず広範囲に応用が可能になってくる。例えば 駅やデパート、繁華街などのパブリックスペース等 繁華街を歩けば、Bluetoothを通じて各商店が情報を配信されるし、(呼び込みやポ○引きの電脳版)ウィンドウショッピングをすれば気に入った商品の情報はモバイル端末に記録し、自宅でじっくり検討もできる。駅では時刻表や料金がすぐに表示され、コンサート会場や映画館等では、ゲートを通過するだけでキャッシュレスで決済されたりとか、また家電製品にBlueToothが搭載されれば、外出先から携帯電話で自宅のパソコンに接続し、パソコンからBlueToothでエアコンをONにし、ユニットバスのお湯を出す。駅から自宅につく頃には、部屋は快適な温度に調整され、熱い風呂が待っている といった具合に・・・

こうなると殆どSFの世界と大差ない。少々失速ぎみ(筆者にはそう見える)なBlueToothではあるがその未来には大きな可能性を秘めているといえる。2001年にはこのBlueToothがどこまで浸透するのか その動向がちょっと気になる所である。