2005年6月21日  いよいよ次世代機戦争本番


2005年5月のE3でPlayStation3の詳細が公開されました。当初予想されていたCellプロセッサーは32個から8個に大幅に減らされていました。とはいっても218GFLOPSの浮動小数点演算能力でこれはPlayStation2の実に35倍の処理能力です。Pentium4 3.8Gで約15GFLOPSなので218GFLOPSは桁違いに凄い能力ということになります。しかし、あくまでカタログスペックであってそれを生かすだけの環境が整っているかどうかは別問題ということになります。218GFLOPSの性能を生かすには十分なメモリバンド幅が必要でCELLにはどうもそこらへんにネックがありそうですがいずれにしてもPentium4よりはるかに高い実効性能が得られるようです。
PlayStation3のCPUはCellの斬新性からなにかと注目を浴びていましたが実は、CPUだけではなくGPUもまた凄いスペックになっていました。
PlayStation3に搭載されるグラフィックプロセッサーはNVIDIAが会社の面子をかけて開発した鳴り物入りのGPUです。その性能はGF6800Ultra SLI を超えるといいます。『GF6800Ultra SLI』より上なんです。一般人にはこの『GF6800Ultra SLI』というのがどの程度のものなのかピンとこないでしょうがゲーマーならこれがどれだけ凄いことかわかります。Geforce6800Ultraは実売価格で6万円くらい これの2枚挿し(SLI)は現在のハイエンドゲームマシンの中でも最高峰にあたります。GPUだけで12万円、庶民にはちょっと手が出ない金額です。ところがPS3のGPUは12万円相当のGPUよりも処理能力が高い訳です。

PlayStation3と時を同じくして発表されたXbox360これはMicrosoftが出したがいいがいまいちぱっとしなかったXboxの次世代機です。CPUはPowerPCベースで115.2GFLOPSとこれまたPentium4を大幅に抜いています。PS3の約半分ですがあくまでカタログスペックなのでこの数字だけでは優劣は判断できません。CPUは従来のアーキテクチャーの延長ですがGPUは革新的です。その新しいGPUはATI製。 PlayStation3のGPUはNVIDIA製、そしてXbox360のGPUはATI。お互いライバル同士で長年GPU戦争を繰り広げてきた両社です。社運と面子をかけて双方が次世代ゲーム機向けに開発した訳です。こうしてみると次世代ゲーム機戦争はSony vs Micorsoftの戦争であると同時にNVIDIA vs ATI の戦争でもあります。
CPUでは Sonyは従来と異なる革新的なアーキテクチャーCELLを導入し、Microsoftは従来の延長上にあるPowerPCアーキテクチャーを採用しています。GPUではNVIDIAは従来のアーキテクチャーの延長上にあるRSXをを、ATIは従来と異なる革新的なアーキテクチャー『Unified-Shader』を採用しています。

革新的なアーキテクチャは、性能や機能を大きく伸ばす可能性を持つと同時に、リスクもあります。どのような結果になるかは神のみぞ知るという所でしょう。

実は、この戦争どっちが勝ってもおいしいメーカーが一社だけあります。それはIBM(笑)PlayStation3のCELLもXbox360のCPUどちらもIBMからの供給なのです。戦争が激化すればするほどにIBMにはおいしいということでしょうか?(笑)

Xbox(初代)のCPUはIntelだったけど次世代はIBMに移ったMicrosoft、片やつい最近、IBMから離れてIntelに寄っていったApple 栄枯盛衰を物語るような出来事が次々と起きていて業界人としては いとおかし な状況がしばらく続きそうです。